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追悼座談会〜飯塚毅先生を偲んで〜-2

『合理化テキスト』を10回読め

岩田 私の飯塚毅先生との出会いは、昭和46年7月25日、立川の市民会館でのセミナーに参加したときです。『電算機利用による会計事務所の合理化』テキストを使った講演は、「思考省略」や「痴迷無智」といった言葉が随所に飛び出し、すべて私のことを言われているような気がいたしました。そのころ私は、多少物事を分かっていたようなつもりでおったのですが、大きなバットで頭をぶん殴られたような衝撃を受けまして、飯塚毅先生と比べたら自分など芥子粒にもならない、埃と一緒のように思いました。

若いときに読んだ伊藤肇の帝王学に関する本の中に、人間にとって一番大事なのは、人生の師を得ること、叱ってくれる人を持つこと、自分の体を掌を見るが如く教示してくれる医者を持つこと、の三つが書かれてありました。だから、私もいつか師を持ちたいと願っておりましたが、飯塚毅先生の話をお聴きし、私の人生の師はこの人しかいないと思いました。それで、その場で飯塚毅先生のところまで行って、「私を入会させてください」とお願いしたのです。

――印象に残っている言葉は?

岩田 講演の中で「『合理化テキスト』を10回読みなさい」とおっしゃったことですね。最初、どうして同じ教材を何度も読む必要があるんだろうと不思議でしたが、5、6回目あたりから、「ああ、そういうことだったのか」と、ズシン、ズシンと骨身に染みて分かるようになりました。読書方法について飯塚毅先生はかねがね、「数多く読むな、回数を多く読め」とおっしゃっていましたが、1回や2回読んだだけでは、実は何も身につかないことを、私はそのとき知りました。

仁木 私が導入セミナーに参加したのは、昭和45年10月9日、場所は東京商工会議所でした。そのときの参加者は13人ぐらいだったと思いますが、飯塚毅先生の話しぶりは、それこそ何百人もの参加者を前にしているかのような、迫力に満ちたものでした。午前中の話を聴き終え、岡山弁で言うと「よし、この凄いおっさんについていこう」と決意し、昼休みに入会手続きを済ませました。

――そのとき、どんな言葉を交わされましたか。

仁木 特に話はしていません。午後の講演も終わって、会場の地下で参加者とまあ一杯、ということになりましたが、私はコンピュータのことが全然分からんので、飯塚毅先生の話をただ端で聞きながら、南京豆をつまんでビールを飲んでいました(笑)。

後で聞いた話ですが、そのときのセミナーは、中国地方の税理士を対象にしたものだったようです。当日、セミナーが終わって宿泊先のホテルに戻ると、参加者のうちのある先生が、私にご自分のグループに加入するよう勧誘してこられた。それがあまりにも熱心だったので、一瞬心が揺らぎましたが、「すでに入会申込書を出しました。TKCに対して不誠実な対応はとれないのでお断りします」ときっぱりお答えしました。この決断がなければ、今の自分はありません。

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