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歴史にとどめを残せ渡辺財政-1

対談者(敬称略・順不同)
 渡辺美智雄(大蔵大臣)
 飯塚  毅(TKC全国会会長)
 ※肩書きや発言内容は対談当時のまま掲載しています。

税理士出身の大蔵大臣

本誌いやあ大臣、56年度予算編成作業の大変御多忙のなか、お伺いしまして恐縮です。

飯塚大変、御無沙汰しております。

渡辺いよお。飯塚さんじゃないか。

飯塚やりましたなあ。同県人としてうれしく思いますよ。然も、大臣は、政治家になる前は私達と同様な職業会計人であったことを思うとうれしく、頼もしい限りですよ。

渡辺まあ、税については、専門家だよなあ、アッハハハハ。何にしろ、税理士やっていたんだからなあ。

飯塚この困難な財政事情の時に、あえて大蔵大臣を引受けられて、艱難に立ち向っていかれるということに対して、われわれ同郷の者たちだけでなく、多くの県民にとって感謝に堪えないことだと思いますよ。特に栃木県の住民としては、いよいよ渡辺政権近し、ああやっと栃木県からも首相が、やがて誕生するなあという実感を持っておりますよ。

渡辺いやあ、今、そんな心境じゃないよ。毎日毎日大変だよ。

飯塚そりやぁ、そうでしょう。財政再建という大仕事とぶつかって行かれるのだから。だけど、昔は、しょっちゅう、議論もし、笑い、酒も飲み、同業者であり、同県人であったあいだだからこそ、言えるのだが、全国3万5,000名からの同業者である、税理士諸君の渡辺大蔵大臣に対する大きな期待、熱いまなざしを一応お伝えしておきますよ。何にしろ、開国以来、税理士御出身の大蔵大臣の出現なんだから。

渡辺それには間違いないなあ。

本誌ところで、今日は渡辺大蔵大臣に、この難局の中での「財政再建」をどう対処しようとしておられるかをお聞きしたい。特に、この問題は、歴代の大蔵大臣の1つのテーマであり、スローガンであるわけですが、実際には財政再建とは大変な問題であるし、口で言うほどやさしい問題ではありませんね。特に、赤字国債がこれだけ増えて来て、いつも大臣が国民に分りやすく語りかけておられる。28万円の収入しかないのに、毎月、40万円からの生活をしている、いつも、不足分はサラ金から借りて生活している。利息を払うのに、またサラ金に手を出す。いよいよ元本の返済が始まろうとしている。一体、どうするのか、ぶっつぶれるだけじゃないか、どうするのだ、と常に、おっしゃっていますが、本当に大変なことだと思います。かつての松方、井上財政に匹敵するような見地でやって貰わねばと思いますが、今日はそれに勝るとも劣らぬ渡辺財政の方向を本誌10万の読者にお聞かせ願いたいのと、国際比較税法の大家であり、大臣の旧い友人の1人である飯塚毅先生の意見と提案もお聞かせ願えればと思っております。

渡辺まず、マスコミ等々で、渡辺の総理が近づいたとか、何んとか、よく書かれているが、私の今の素直な心境は、そんなことなど考えてませんよ。一国の大蔵大臣が、自我中心的なことを考えておったんでは、国家がおかしくなりますよ。

飯塚その通り。

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