飯塚毅博士アーカイブ
プロフィール植木義雄老師との出逢い飯塚毅会計事務所と巡回監査飯塚事件TKC創業とTKC全国会結成
法改正への提言DATEV創業者 Dr. セビガーとの交友研究業績飯塚毅博士の言葉著作物・講演記録
ホーム
 
追悼座談会
飯塚毅先生との出会い
飯塚毅博士と私
バンガード対談集

飯塚毅博士と私

歴史にとどめを残せ渡辺財政-3

長寿の時代は医療費の増大につながる

本誌当面、来年度の予算で財源が2兆ばかり不足するように聞いてますが、法人税を引上げるとかいう噂もありますが、大蔵大臣は特に税の専門家ですから、ひと味ちがう妙案がありましたらお教え願いたい。

渡辺あのね、当然増という要求が1兆9,000億円あるんです。その当然増というのはどういうのかと言いますと、例えば、老人が増える。それは長寿の時代に入ったからですよ。老人が増えれば、年金受給者が増えるということですね。年金受給者が増えれば、政府負担が増えるということですね。それは老人が増えることによって病人が増えるということですね。老人が元気に若返るとは考えられませんよね。医療費の増大につながりますね。そういうのが、いっぱいあるんだ。例えば、恩給、遺族年金というのは、国家公務員のベースアップがあると明年度、1年遅れてベースアップする、これも今までずっとやって来た。自動的にやって来ている。学校の子供が増えると先生が増える。来年は子供が29万8,000人も増える。

飯塚なるほど。

渡辺2万4,000人の先生がやめるが、それを補充して約1万人近くを採らねばならない。これが、また、何百億もかかる。だからと言って、先生の新規採用やめて、スシ詰め学級に逆戻りというわけにもいかん。来年のベビーブームは頭が痛い。先生だって、来年採用予定の辞令を貰っている人が1万人近くおる。各府県で待っている。この当然増を休止したら社会問題になってしまう。

本誌全国の教育大や学芸大の卒業生にとっては受難の道ですね。

渡辺国立医科大学なんかの問題もそうだし、当然増として、切るに切れない問題というのが山積していて大変なんだ。しかし、どんなに大変でも予算も無いのだから、思い切って緊縮財政でくぐりぬけなければならない。当然増と思っていても切れるものは切らねばならない非常時なんです。少し、がまんするという気持になって貰わねばならないんです。

本誌いやぁ、渡辺大蔵大臣、よく分りました、大変な時勢ですね。今度はひとつ、飯塚会長から、現下最大の国民関心事である、財政再建問題に対して、税法専門家としての意見を出して下さい。

渡辺その前に、今ひとつ、問題はそこで結局、1兆9,000億円というものに対して人件費を見てない。それを見たり、それから新規の政策予算等を見ると3兆円になる。3兆円を税金で取るとなると税金の種類にもよるが、4兆2、3,000億位の大増税をせねばならない。しかしそれは出来ません。新規の政策をどこまで押し込めるかにかかっているんだね。新規はスクラップ・アンド・ビルドで行かねばならないんです。当然増はうーんと押える、当然増を1兆円に押えれば、税の増加は1兆2,000億位ですむと思う。今までにない思い切った方針で貫かねばならないわけです。

飯塚大臣としては、前代未聞の悪役を国家国民のために引受けたことになりますね。

私は大臣の勇気と見識を最高度に尊重しますよ。

前ページ  1   2   3   4   5  次ページ
(3/5)