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命懸けの行・財政改革-3

「勝負は、部会にあり」

飯塚うん、うん。

しかし、予算編成の手法も画期的だが、これも、いわば行政改革の一環ですよ。

中曽根そうです。

大蔵省の主計局の諸君の中には「予算編成に関し、臨調に主導権を奪われちゃあ困る」と、心配しているやに新聞で報じられているけれども、そんなこと言っていられる情況ではありませんからねえ。

本誌さきほどの土光さんも、「これが最後の仕事だ」と、それこそ必死ですからね。

中曽根そうですとも。

戦後の日本の政治史をみてみましてもね、歴代内閣の行政機構改革は、どれも行きづまっています。その先例のないことをやろう、やらなければいけないという信念をもってやっているわけですから、たとえ予算編成だってね、先例のないことをやらなければ、“改革”なんか出来っこないですね。

飯塚そう。日本は、あまりにも官僚の力が強くなりすぎ、政治指導力の上をいってるから、“機構改革は内閣の命取り”とまでいわれてきた。それを、敢えてやってるんですから。

この点、自民党内の上・下・左・右ともに一本化する必要がありますが、どうです。

中曽根ええ、ええ。

まあ、閣僚全員と党の4役、それから行財政調査会長、参議員会長を入れた政府与党を一体化した「行政改革推進本部」が出来まして、そのことは誓い合ったわけです。

それから鈴木総理も総務会に出てきたり、あるいは各部会の会長を集めて行財政改革の必要性なりをこまめに訴えてまわっておられますし、私は私で、各年次別(当選回数別の代議士たち)に会ったりね、今日なんかも参議院議員のみなさんのところに出掛けたり、政策審議会で話をしたりということで、いまも全力を投球して党内の結束に努め、意志の疎通を図っているわけです。

本誌代議士先生がたが一致結束して、本当にやろうと思えば、大変に困難な問題ではあるけれども、これは本気になってやろうと思えば出来る。また、やらなきゃあならんのですね。

「行政」というのは、公権力の裏づけなり租税公課への依存とか、法規によるところの根拠づけと制約、あるいは平等・公正などの原則であるとか、1億1,700万人にも及ぶ日本国民による監視と統制などなど、そういうものに対し、組織的管理努力をして、政策を具現化し、公共目的の実現を図る国家、または公共諸団体の活動をいうわけですが、さきの戦争に敗れて以来36年。肥大化したといいますか、あるいは、硬直化してしまった現在の日本の行政なり財政機構を、新しい国際化時代に適した機構に再調整、つまり、改革しなければならないということは当然といえば、当然すぎることですよね。

飯塚そうそう。国家国民のために、それを成さなきゃあならん。

それが出来るのは、国家国民の安泰と、1億2,000万人に及ぼうとする日本国民の運命形成に一身を投げ打ち、なおかつ、責任をとってくれる“真の政治家”だけなんだ――。

中曽根ええ。その通りですね。

ですから、それを実現するためには自民党が結束しなければいけません。

自民党が結束してコトに当るに際しては、財政、農林、商工だとかの、その部会がまとまってくれれば出来るんです。したがって、「勝負は部会にあり」ということで、目下のところ、その焦点を部会に合わせてやっておる真っ最中です。

一番大事なことは、各省庁が、“公平に犠牲を負担”しても、やむを得ないと考えてもらうところなんで、いかに公平に犠牲を負担してもらうかという“基準”を作ることが、われわれや大蔵省なりの、大きな仕事になってきたわけですよ。

本誌その“基準づくり”というのも、これまた大変にむずかしい――。

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