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「税制抜本改正」を語る(上)-4
経済の構造変化に即した税制に

強制負担が50%を超えるとダメ

本誌そうした前提を踏まえて、ぼつぼつ本論に入って頂きましょうか(笑)。

東京でのサミット(主要先進国首脳会議)についで参院選、そのあと衆院選になるかダブル選挙になるかわかりませんが、そうした政治日程が終らないと自民党の税制調査会も動けませんね。

しかし、来年度の予算編成を見越して、大型間接税導入が、既に、政府の意向として政府税制調査会に諮問されています。

今後の課題についてお話し頂けませんか。

村山その前に、ちょっと。

各国の税制を見ておりますと、ヨーロッパ諸国が活力を失った原因は2つあるように思います。

1つは強制負担(税と社会保障負担)の圧力です。これが50%を超してから、ヨーロッパ諸国は活力を失っています。

もう1つは、特に英国なんかそうですが、ヨーロッパは階級社会――エリートとそうでないものの間に厳然たる区別がある――でしょう。そのエリートが強力な影響力をもっている間はいいが、その指導力が弱まると、理念として民衆の平等主義、個人主義が徹底しているから国家・社会の運営がスムーズにゆかなくなる傾向があります。

飯塚その点、日本は驚くべき無階級・平等社会ですね。戦後の首相を見ても文句なく名門出身といえるのは鳩山さんくらい。吉田さんは“貴族趣味”の方で(笑)……。

村山いまの総理は材木屋出身、田中角栄さんは農家の人、大平さんもしかり。

企業のリーダーも、由緒ある家柄の人、というのは少ない。そういう意味で、日本は社会的には最も民主化しています。

飯塚しかし衆議院の佐藤一郎さんは、「日本は社会主義、それも大蔵省社会主義の国だ」と嘆声を発していました(笑)。

村山日本の労組が職種別、産業別組合でなく企業別組合であることも、経済の活性化に役立っています。産業別だと、ある職種の労働者がストをすると、経済が全部ストップしかねません。

飯塚ロンドンタイムズ紙が衰えたのはそのためですね。

村山話を戻しますが、ともかく、強制負担が50%を超えてはいけません。

日本はいま税と社会保障負担を合わせ36%の負担率ですが、これから年金の費用がどんどん上がって行っても、40%台の前半にとどめたいですね。

飯塚私の提案するやり方を採用すれば、年金の財源など心配無用なのですが……。しかし、それは、村山先生のお話を最後まで伺ったあとで、まとめて申し上げましょう。

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