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「税制抜本改正」を語る(下)-7
脱税防止こそ切札

改革は筋を通し国民の納得を得て

飯塚こういう機会はなかなかありませんからね(笑)。

手前みそで恐縮ですが、TKCは職業会計人だけでなく、現在150の市町村のお手伝いをしております。そのためのシステムが1,000種類。仮りにそれを全部採用して下さると、1,000種類の手仕事がコンピュータ化され、市町村財政に貢献することができます。

その好例は栃木県黒磯市での実験です。「私のいう通りにすれば、税務課で絶対に残業がないようにしてみせる。人手が余れば課税漏れを探せばよい」と宣言して、TKCのシステムを導入しました。結果は、その通りになりましてね、地方税は相当増収したようですよ(笑)。

これは、大は国家財政にそのままあてはまりますよ。

村山ほう。今度は実践例攻勢(笑)。

飯塚そんな話をどこかで聞いたのでしょうかね。フィリピンの元駐日大使カルロス・バルデスさん――弁護士・公認会計士で、バチカン、国連各大使を歴任して日本に来られた方――が、TKCに来られ、計算センターも視察して、「ぜひフィリピンに進出し、自治体行政の円滑化に協力してほしい」と。

私は、「貴国は7,000も島があり、通信施設も整っていないから、容易じゃないですね」と答え、さらに話をするうち、大使いわく。「わが国の財政は全住民の1%の人間が支えている」というのです。

本誌近代国家で1%というのは極端ですが、スペインの植民地から生まれた国は、どうもそういう傾向がありますね。少数の大地主に少数の資本家が重なって……。

飯塚私は1%という話に、思わずわが日本の場合を連想したのです(笑)。

もちろん、日本の納税者の裾野は広い。しかし、この過酷な累進税率は、国家の必要とする金を少数者を中心にとろうとしているからだ、というように映るのです。

その点は、村山調査会も問題だとして指摘され、自民税調、政府税調も行き過ぎた累進性を改めようとしておられます。このままでは、個々人の働く意欲をそぎ、日本の滅亡にもつながりかねません。

本誌職業会計人の権限強化、第一線税務官吏の意見提案権、不当で過酷な経費概念の是正といった持論、提言などまだまだおっしゃりたいことが沢山おありと思いますが、最後に税制抜本改正の目玉の1つである間接税導入についてお願いします。

飯塚『バンガード』3月号掲載の論文でも書きましたが、私は基本的には導入に賛成です。

それには条件が3つあります。1つは多段階式前段階控除制のEC型間接税とすること。もう1つは、1年に13回の申告を義務づけること。これはEC型間接税を支えている大黒柱ですが、13回といっても忙しい思いをするのは税理士ですから、問題はありません。3つ目は導入を減税の取引条件に使わない。減税は減税できちんとやることです。

本誌有難うございました。では、村山先生、締めくくりのお話をお願いします。

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