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飯塚毅博士と私

国家百年の計-2
今こそ確立せよ日本の税制

脱税防止に名寄せシステム

飯塚「税制抜本改正」の主旨はよくわかりました。

しかし、「財源がない」と言いますが、とるべき方策を講じれば財源はあり余るほどあるのです。私はその具体策を口を酸っぱくして提言してきました。今日は、水野さんのような国家の中枢におられる方に直接聞いて頂きたい。後ほどまとめて(笑)。

ところで、水野さんの先輩にあたる元主税局長・国税庁長官の福田幸弘さんが、今回、参議院に当選、朝日新聞の「税制改革への注文」という連載記事に登場しておられました。

本誌記者がインタビュー記事にまとめたものでしたね。

飯塚そうです。要旨は、(1)勤労所得に税負担がかかり過ぎているので、中堅層を中心に減税し、資産所得には課税を強化すべき。(2)大型間接税はもっと時間をかけて論議すべきで、国民に理解を求めるのは時期尚早だ。(3)所得税減税はマル優などの資産課税強化や税務執行の徹底、間接税の課税対象拡大などで充分な財源確保が可能、というものでした。

選挙の公約だから歯切れが良い。現在の主税の責任者である水野さんにはご同情申しあげます(笑)。立場が違いますからね。

水野深慮に感謝します(笑)。

本誌私が強い印象を受けたのは、「福田さんは役人時代は大型間接税の積極的な導入論者だったと聞いておりますが」という記者の質問に、「大平内閣時代の一般消費税のことでしょうが、あれは積極的推進というより、財政再建のための財源調達だけが目的だった。それが欠陥だった」との答えです。

飯塚私は、「マル優廃止と税務執行の充実でかなりの額が確保できる。徴税の徹底は不公平税制の是正にも役立つ。それによって大型間接税は無理でも所得税減税はかなりの規模でやれる」という発言に注目しました。

水野私もその記事は目にとまりました。福田さんは退官して民間に移り、さらに立法府の一員になり、いまや行政府に注文をつける立場になられましたのでね。税務に通暁した先輩でもあり、ご意見は傾聴しています。

もちろん、ご指摘を待つまでもなく、主税としては、取るべき税金をきちんと取るよう、工夫、努力はしているわけで……。

本誌8月の初めに大蔵省が公表したマル優不正防止の為の「名寄せシステム」はヒットですね。主税局と国税庁が、税務執行強化の為にコンピュータを導入、各種ソフトの開発に鋭意努力しておられることは承知していましたが、このシステム開発の意義は大きい。資産家が全国どこの金融機関にマル優扱いの預金を分散しても、姓名と生年月日で本人を特定できるそうで、大変な威力ですね。

水野現在は、不正防止の為の税務調査をする場合、銀行の同一支店の中だけでも限度オーバーを見つけるのに大変な手数がかかる状態です。それが、全国の金融機関についてパッとわかるのですから、おっしゃる通りの威力です。

仮にマル優の見直しで、一般的には限度管理が不必要になっても、取引や不動産などの税務資料の名寄せに利用できます。

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