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世界の禅のふるさと日本-7

道元とハイデガーも通じる

飯塚あれは有名ですね。

私は東北大学時代、松島の瑞巌寺に住み込んで、後に妙心寺管長になられた三浦承天老師に参禅していたのですが、老師がある日「飯塚君、東北大学の学生が来たよ」といわれるので会うと、おやじさんが東京文理大の哲学の教授で、親交のある西田幾多郎先生から「息子に坐禅させろ」と勧められた。それで瑞巌寺に来たというのです。

あとで老師に聞いた話では、「無」という公案を出され、論文を書いて出したというんですね。さらに「これはお前が習ったこと。さてお前自身の無を出せ」と迫られて退散したそうです(笑)。

森本ありそうな話ですね(笑)。

飯塚ハイデガーの『存在と時間』については、こんな話があります。

日本の高名な会計学者で、TKC全国会の最高顧問をお願いしている黒澤清先生が、ドイツから帰られて「ゾーリンゲンでびっくりした」と言われる。「どうしたのですか」とたずねると、刃物工場を見せてもらった時、工場主の部屋に通されると、この本が目についた。「これは誰が読んでいるのか」ときくと「うちの家内が読んでいる」と。

従業員5、6人の工場のおかみさんが、ハイデガーを読んでいるので驚いたというわけです。

森本なるほど。

日本では哲学が、非常に特殊なものになり過ぎているんですよね。そもそも、哲学という言葉自体、西洋のフィロソフィーに当てて作った言葉でしょう。一般の日本人がなかなか馴染めないのは無理ありませんがね。

いまの『存在と時間』にしても、何種類か翻訳が出ていますが、京都大学のある先生は「有(う)と時」と訳していて、こうでないといけない、と主張しています。

『正法眼蔵』には「有時(うじ)」という巻がありますね。

飯塚面白いお話ですね。やはり道元の禅はハイデガーと通じるところがあるのですね。

森本そう思います。

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