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日本人のユニークさを検証する-8

外国から誤解されないためには

本誌壮大な話になりました(笑)。

締括りに、身近なことになりますが、クラーク先生、日本人は外国から誤解されないためにはどうしたらいいでしょうか。

クラークうーん、それは難問(笑)。即効薬はないのでは?

でも、お互いの違いと共通点を認識してかかれば……。

飯塚大過なきに近よらん、ですか。

クラーク例えば、外国人にいわせると、日本人はアンエモーショナル――エモーショナルでない民族ということになっています。だが、本当はそうじゃなく、エモーションを大事にするから、細かいルールをつくってコントロールしているんですね。

飯塚その通り。

クラークそこが分からないので、外国人は日本人を非常に頭脳的だと考え、日本人自身は支離滅裂にやっているのに、「計画的な陰謀だ」と(笑)。

飯塚その彼我のギャップを前提にして対応しなさい、ということですね。

われわれも相当、経験を積んだつもりだが、まだ苦労が足りませんね。

例えば、アングロサクソンの長い、地球規模の経験の蓄積に比べれば。

クラークもう1つ。戦前の日本人は集団主義の権化だったようにいわれますが、戦後、一層そうなったのではないですか。

つまり、戦後の日本は戦前よりもっと日本的になった。

本誌戦後、民主主義が身につき、個人主義が行き過ぎたという人も多いのですが。

クラーク図式的に、再び極論することを許されるならば、大人は企業、子供は学校と家庭だけしか念頭にないのでは?

とくに青少年の世代に、それが顕著だと思います。彼らに社会の意識がない。象徴的に言いますと、日本の子供たちは新聞を読まない。

身の周りだけが自分の世界で、社会の一員だという認識が希薄で、だから社会性が育たないのだと思います。

飯塚非常に耳の痛いご指摘ですね。

しかし、「謎の日本人」を理解するために苦心惨憺し、われわれに貴重なプレゼントをして下さったクラーク先生の発言だけに、説得力があります。

本誌率直なご意見、有り難うございました。

(編集主幹・木場康治)
(VANGUARD 1988年10月号より転載)

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