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歴史の大転換に立ち会って-2

明治以来の3大税制改革の1つ

本誌大任を終えられて、息をつく間もなく、4月1日からの消費税の実施でしたね。うまく定着してゆけば、この財源によって新しい国づくりが出来るのではないかと思いますが……。

小渕仰言るように、消費税の導入等税制改革は竹下内閣の最大の任務です。竹下首相としては、10年前の大平内閣のとき、蔵相として一般消費税(仮称)にかかわったときから手がけてきているわけです。

飯塚赤字国債の累積はあのころから放置できない問題になっていましたね。あのときは正攻法でやろうとして躓き、大平さんは志半ばで倒れました。そのときの大蔵大臣が竹下さんだった。10年越しの大仕事を果たしたわけだ。

小渕竹下首相はその後、政権をとるまでほとんどの期間を、大蔵大臣としてこの課題に専念しました。そして実施に漕ぎ着けた。これは特筆大書すべきことと思います。

飯塚先生には度々国会でご意見を開陳して頂きましたが、この税制改革をどう見るか。評価はいろいろあると思いますが、とにかく明治6年の地租改正、戦後のシャウプ勧告に基づく改正とともに、今回の改革は3大改革といっても過言ではないでしょう。

飯塚その通りです。

地租改正は、石高を基準にした課税から地価を基準にした課税へ、税率は豊凶にかかわらず3%、物納でなく金納、納税するのは地券を交付された土地所有者――という、従来とは打って変わった大変革でした。地租改正事務局の閉鎖が14年ですから、軌道に乗るまでに8年前後かかったことになります。

明治政府の財政的基盤と、日本資本主義の発進のための蓄積を用意した歴史的な改革でした。シャウプ勧告に基づく税制改正は周知の通りで………。

本誌簡潔なコメントを有り難うございました。

偶然の一致ですが、そのときも3%というのが面白いですね。今回の消費税は買い物をするたびに「税金は幾ら」と思い知る。これは大きな変化です。極めて体験的コメントですが(笑)。

消費税は歴史の評価を待つ

小渕国民のその痛みはよくわかります。同時に消費税導入は国際的に見て遅きに失したという評価もあるのです。

飯塚日本の国債累積残高は約160兆円。アメリカに次ぐ巨額であることを考えてもね。

小渕わが国は成長と好景気が持続し、所得税や法人税収入の好調に支えられてきました。そのために間接税に対する理解が進まなかった。しかし、ご案内のように、確実に訪れる高齢化社会と、それに対応した福祉政策を見通したとき財政はこれから一体、どうなるのか。

また、従来の所得税中心では中堅サラリーマンの不満が放置できないところまで来ていました。

飯塚消費税導入の趣旨には十分な説得力があります。賢明な国民は、そこは理解していると思いますよ。

小渕お蔭で4月1日から実施できたわけです。

仰言るように国民は賢明です。実施前にパソコンを買っておき、4月1日になると物品税が無くなったテレビをお買いになる。

一方、デパート、スーパーなど流通機関は短期間にソフトを変えて、平静のうちに実施が始まりました。混乱したとのマスコミの報道もありましたがね……。

本誌その方を強調するのはマスコミの習い性でしてね。

小渕もちろん、消費税だけとれば増税ですから、国民の批判の矢面に立たされるのはやむを得ません。

総理も「これが今後の経済活動を通じて次第に定着し、私達の生活に溶け込めば、所得税等の大幅減税と合わせて、やがて『消費税を導入してよかった』と感じていただける日が来る」という確信のもとに、政治生命をかけて遂行したわけです。

たしかに、今、世論調査の結果は芳しくありません。しかし、将来の、歴史の評価に期待する。総理はそういうお気持ちです。われわれもそうです。

飯塚そうでしょうね。

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