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ドイツからみた日本の税制と商法-8

ドイツ国民は付加価値税をすんなり

本誌私はドイツ語は分かりませんが、前置詞で白熱した議論を展開された模様で、先生方の厳密なご討論に感銘しております。この問題は日本の専門家にも興味のあるところと思いますが、決着は今後の楽しみとさせて頂けませんか(笑)。

飯塚そうですね。双方の宿題ということにしましょう(笑)。

本誌締め括りに日本の目下の大問題である消費税について、もう1度ご意見をお聞かせ頂きたい。

ドイツでは日本よりはるかに高率であるにもかかわらず、同じような付加価値税がすんなり通ったそうですが、なにか背景があったのでしょうか。

セービガードイツの場合は、飯塚博士が指摘されたように、1916年以来の取引高税の経験がありました。そのため、1968年に付加価値税を導入した時は、新しい間接税の導入というより、これまでの不公正な税制を改めるという意識が国民に強かった。そこであまり問題は起きなかったのです。

本誌なるほど。

ダン現在は14パーセントになっていますが、それも1パーセントずつ年月をかけて上げてきましたので、抵抗はありませんでした。

飯塚来日したハンブルク大学のレードラー博士も、反対はなかったと言っていましたね。しかも14パーセントという高率で、日本とは比較にならないほどなのに、これを受け入れる国民の意識の高さには、歴史というか、民族性を感じます。

セービガー日本の消費税はドイツの付加価値税とちょっと内容が違うかもしれませんが、消費にかかる税金ですから、企業の投資活動にはかからないはずですね。これは日本のような工業国では国民経済の見地から非常に良いと思います。

また、一般市民の直接税、つまり所得税の比率を高くすると、消費を控えたり、あるいは働いても税金に取られるばかりで意味がないと、やる気をなくさせるでしょう。

総合的に見て、間接税に財源を求める方が良いと思いますね。

飯塚そこでは完全に一致だ(笑)。

本誌率直なご討論、若干の難解さはありましたが、国境を超えた稀有な比較税法論議を有り難うございました。

(編集主幹・木場康治)
(VANGUARD 1989年10月号より転載)

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