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「文化摩擦」回避の道-9

「アメリッポン」是か非か

飯塚日本の場合、19世紀の欧米の帝国主義に飲み込まれそうだったのを危機一髪で回避した経験があります。これは貴重なケースですよ。

佐藤その後も維新の指導者が賢明だったからうまく運んだわけですね。主流はそうなんですが、滑稽なことも起こっています。帝国主義時代の勝者で世界の支配者然としていた欧米人との差をどうするか。性急な日本人改造論もいろいろ出ました。

飯塚そう。

佐藤日本人はみなキリスト教に改宗し、日本語は駄目だから英語にするか、さもなければ表記をローマ字にする。あるいは日本人はアメリカ人と通婚して混合しなさい――これは金魚の交配に成功した生物学者の説でした。

飯塚ハッハッハ。第1項以外はある程度そうなった(笑)。戦争に負けた結果ね。

佐藤カーター大統領時代の補佐官、ブレジンスキー氏と親しかったのですが、「これからはジャパメリカ」だと言うと、かれは「いやアメリッポンだ」と切り返しました。

飯塚「アメリッポン」――聞いたことがある。アメリカとニッポンを合成して(笑)。

佐藤「環太平洋」の考え方なんです。

飯塚当時、大平首相もそんなこと言っていましたね。あれは大平さんをめぐるシンクタンクの連中が考え出したと記憶するが、米側にも同じ考えがあったのですね。

佐藤私が「環太平洋諸国がコミュニティを作る。その場合、日本を中心にするとアジア諸国から反発を食うだろうな」と言うと、彼は「その通りだ。日本の防衛費をGNPの0.01%増やすだけで恐ろしがって大騒ぎするのだからね。それは出来ない。どうだろう、アメリカをうまく立てて一緒にやるんだ。日本が金を出してね。つまりアメリッポンでは?」と。

飯塚うまいですね(笑)。

佐藤戦略としては面白いでしょう。

飯塚その時に比べて日本はさらに金持ちになり、アメリカは債務国に落ちて力も相対的に弱くなった。状況は変わった。「アメリッポン」ではバランスを欠くかもしれないが、「ジャパメリカ」もね。

佐藤真理は中間にありますか(笑)。

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