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「文化摩擦」回避の道-10

ホームレスも申告するアメリカ

本誌すると佐藤先生も基本的には日本の将来は明るいと?

佐藤うまく対処すればそうです。しかし、今のままではあぶない。

例えば、米の自由化の問題。米は日本の安全保障のため自由化できない、と言っていますが、冷静に考えると日本の安全保障に欠かせないのは石油です。だから、アメリカ側は内心笑っていますよ。

飯塚私が農業をやっておれば、米の自由化大歓迎ですね。ササニシキを超えるようなうまい米を作ります。自分で改善しないで国家の恩恵に浴そうというのは、農民諸君のエゴイズムではないでしょうか。

佐藤日本の米価は国際相場の6倍といわれますが、カリフォルニア米の3倍くらいでしょう。生産技術の革新でこれを1倍半くらいまでは下げられるでしょうね。後ろ向きの補助でなく、前向きの投資をして助ければ。

飯塚いまは減反政策で耕作をしないことに対して金を出す。めちゃくちゃだ。

佐藤アメリカも減反政策があるのです。はじめて向こうへ行った時、「農家は減反補助金貰ってキャデラックを乗り回している」とテレビも放映していました。農業補助は形を変えて続いていますが。

本誌だから農産物交渉でECから逆襲されていますね。

飯塚ECが農民諸君に会計の記帳義務をかぶせているのは立派です。

佐藤税の権威におたずねしますが、アメリカは国民皆申告制ですね。ホームレスの人も申告しています。

飯塚カナダもそうですよ。そこへゆくと日本はインチキでね。「所得がある人は申告を」だ。冗談じゃない。所得があるかどうかは国が判断すべきなんだ。そんな簡単なことを政治家、国会はやろうとしない。私は口を酸っぱくして指摘しているのですがね。

佐藤人間のやることには抜け穴が必ずあるものですよね。アメリカは皆申告制ですが、HR・BLOCKという商売があって、3月末から4月にかけて大繁盛なんです。「還付金を何ドル以上とれなかったら当社が弁償します」という広告を堂々と新聞に出して。

飯塚そういう面もあるかもしれないが、1954年から農民にも記帳義務をかぶせたのは立派。しかも帳簿は永久保存だ。

佐藤時効はどうですか。

飯塚税に関しては時効はありません。イギリスもインドもそうです。メキシコも。残念ながら日本やドイツは時効を認めている。そもそも時効は法律による免責ですが、アングロサクソンはこれになじまぬらしい。

アル・カポネが殺されたのは18年前の脱税でした。

佐藤執念深いですね。そこへゆくと大方の日本人は淡白だ。肉食しなかったせいかな(笑)。

飯塚中国の史書『三国志』の「魏志倭人伝」も「争訟を好まず」と記録しています。昔からなんですね。アメリカは too much litigation(訴訟過多)だけど(笑)。弁護士が多くてそれが結構繁盛している。

佐藤よくそう言われますね。でも、向こうは法案を書くのはローヤーでなければならない。それを日本では役人がやっています。またタックス・ローヤーというのは日本の税理士に当たります。そんなことを考えると向こうの弁護士が多いのも頷けるのではないですか。人口2億2,500万人で日本の2倍ですしね。

飯塚そういう面がないことはないが。

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