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正規の簿記の諸原則
飯塚パラダイム

研究業績〜飯塚パラダイム〜

飯塚毅博士は、果敢な実務家であり実践者だったが、同時に優れた比較税法研究家でもあった。「象牙の塔の住人」ではなく「十字街頭でパンを拾う在野の職業会計人」として激務の日々をおくるかたわら、会計史に記録される研究をなし遂げた。

正規の簿記の諸原則

『正規の簿記の諸原則』

飯塚毅博士の最大の研究テーマは、帳簿の証拠価値について、欧米諸国の商法、税法、関係法令を渉猟し、二百を超える引用文献をひいて論究した、「正規の簿記の諸原則」に関するものだった。

飯塚毅博士は、「正規の簿記・帳簿の証拠性」―この国民的誤解の訂正を願う―、と題する論文を日本会計研究学会の機関誌「会計」に、昭和54年(1979年)6月から、昭和57年(1982年)6月までの3年間に、26回にわたって連載。その論文を収録した単行本が、昭和58年7月に森山書店から『正規の簿記の諸原則』として出版された。(昭和63年5月改訂版発行)

黒澤清博士は、『正規の簿記の諸原則』(森山書店)の序文において、本研究の意義を 「商法学、税法学および法会計学的研究領域からする学際的方法論」による「法理的見識から帳簿の証拠価値の問題を徹底的に追究」した「比類なく卓抜、稀有の好文献」と評し、「わが国の商法および税法が改正されるにあたって、立法指導的役割をもち得る文献として参照されるべきもの」と結んでいる。

飯塚毅博士は、この『正規の簿記の諸原則』(森山書店)の自序において、黒澤清博士、恩師である中村常次郎博士、勝本正晃博士、田中勝次郎博士への感謝を述べるとともに、厳しい自己探求を教えてくれた、雲巖寺植木義雄老師、瑞巖寺三浦承天老師への感謝を述べ、「本論文を執筆できたエネルギーの源泉は、両老師の鉄拳の鍛錬下から生まれたもの」と記した。

『正規の簿記の諸原則』では、日本会計学界の主流とされる東大の田中耕太郎博士以下の誤りを指摘しており、黒澤博士が、「多数のわが国の学者諸氏が論破しつくされている観がある」と評した点についての真意と研究学徒として、研究活動を通じて感じざるを得なかった、税法学の多面的な学際性にふれている。

ドイツ税法学会から出版された『正規の簿記の諸原則』のドイツ語版

「筆者は、この研究論文中で、日本といわず、欧米といわず、不遜にも、百名を超える学者の所説に反論を加えた。それは、ベルリン大学の法哲学教授グスタフ・ラートブルッフが『人は自我忘却的客観性を通して人格となる』といった言葉に触発された結果に他ならない。同時に、禅は、固定的実在としての自我の悲実在性の確証体験を、根本的に要請している。一脈通じているのだ。論文の根底を流れるこれらの哲理を洞察したのか、1982年10月に、西ドイツ最大の出版社であるC. H. Beck社は、西ドイツにおいても、この論文を出版したい旨を西ドイツ税法学界の幹部の一人、Heinz Sebiger氏から知らせてきた。

税法学が、会計学、経営学、簿記学、商法学は勿論、行政法学、国家学や法哲学までにも及ぶ、驚くほど学際的である点に、時には嘆息を禁じえないものがあった。」(『正規の簿記の諸原則』自序)