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自衛隊海外派遣は慎重であれ-7

国会の事前承認はぜひ必要

後藤田もう1つ。さっきお話があったが、世論調査をすれば60%以上の人が、武装部隊である自衛隊がPKOとして海外に派遣されることに危惧の念を持っている。だが、さっきの危急存亡の時やったことに対して、個々の隊員が責任をとらなくてよいようにしてやらなくちゃあいけない。国民全体の意思としてね。それは国会の承認だ。

飯塚ところが、事後承認の形態ですね。公明党が突っ走ってしまった。民社党は事前承認が要ると頑張っていますが。

後藤田国会への報告――事後承認では後の祭りだ。「自衛隊の諸君、こういう仕事だ。ご苦労だが行ってくれ」というためには事前承認でなくてはならない。これだけは是非考えてほしい、と訴えてきたのだがね。

飯塚全く正論です。

後藤田ここまで来ると、憲法問題について衆智を集めて検討する機関をつくってはどうかと思うんだ。2、3人の勇ましい主張がまかり通って、押し切ってよい筋合いのものではあるまいと思う。

解釈改憲にも限度がある

飯塚憲法が問題になっていますが、日本の憲法は硬性ですからね。つまり簡単に変えることが出来ない。そこへゆくとドイツの憲法は軟性で、もう9回も変えている。

後藤田たしかに日本の憲法は硬性ですね。改定手続きがあまりにもややこしく、変えるのが難しい。こういう憲法は出来るかぎり柔軟に解釈しなくては現実に立ち遅れてしまう。

しかしながら、成文憲法である限り、いかに柔軟に解釈するといっても、超えることの出来ない限度がある。解釈改憲という手段で事実上限界を超えるのは憲法違反だ。そんなことでどうして国民に順法を説けるだろうか。そういう時は堂々と憲法自身の問題を衆智を集めて検討し、改正すべきなら改正すべきだ。そうしないでなし崩しにやるのはいけない。

飯塚その通りです。宮沢さんは「すみません」と言うべきですよ。彼は主体性を失っているから、こう言っては酷だが……。

後藤田とにかく日本は内外とも大変な時期を迎えています。宮沢内閣の課題は容易じゃないですよ。

本誌小さな子供までが、政治というと軽蔑しています。

後藤田だからこそ、政治を改革しなくてはね。

リクルート問題以降に限っても、政治と金にまつわるいろんな不始末があり、政治改革論議が興って政治改革法案が提出されたが、前の国会で挫折し、いまでは熱が冷めている。それは何故か。政治と金にまつわる問題が出発点だったし、その問題はそれなりに解決しなくてはならないが、基本は何かというと、議会制民主主義が活力を失ったのです。

その原因は長年にわたる自民党の一党支配です。一党支配がこんなに続くとどうしても油断が生まれ、緊張が弛緩する。そして濁りが生ずる。野党は政権を取る意志がない。

飯塚ないですね。

後藤田ないから無責任政党になる。その上、与野党変わらぬ政治がずっと続いて、ぬるま湯につかっているようなものだ。与野党間の厳しい対立があって初めて政治に責任を負う体制がきちんとするのですがね。それには政権交替が行われることが一番望ましい。

飯塚それには今の国会法を改正しなくては。現行法では質問と答弁しか出来ない。閣僚が堂々と論戦できるようにしなくては。

後藤田それもありますね。さらに緊急なのは派閥の問題、また族議員の行き過ぎも放っておけなくなっている。

飯塚そうですね。族議員は委員会ごとに審議する体制から生まれた。議員が得意の領域に詳しくなることは奨励すべきことだが、政治献金を獲得するツールに堕している。

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