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『飯塚毅会計事務所の管理文書』-1ルールによる経営を実践『飯塚毅会計事務所の管理文書』 飯塚毅会計事務所の業務レベルは、当時の同業者の水準を遙かに超えていた。その主な理由は、巡回監査を基本として、高い業務体制を保証する仕組みが、機能していたからだったと思われる。そのカギは、ルールによる経営を実現する業務のマニュアル化にあった。 事務所の承継が認められてきた欧米の会計事務所では、代々の経営ノウハウの精髄である膨大なマニュアル群が存在することは常識だったが、当時の日本の会計事務所ではマニュアル活用による業務遂行は希有だった。しかし飯塚毅税理士は、欧米会計事務所にならって、ルールによる経営を担保する業務マニュアルの作成に取り組んだ。特に法令遵守の徹底と、職員の能力向上を事務所発展の不可欠の要因と位置づけ教育指導の側面を強く持たせることに配慮した。厳密な報告制度・信賞必罰制度等のきめの細かな成長支援施策が盛り込まれていた。福利厚生、給与制度等についてもキメの細かい配慮が払われていた。 「飯塚毅会計事務所の管理文書」には、飯塚毅税理士の人生観に基づく職業会計人としての妥協のない姿勢が反映されていた。 最初に作成された管理文書(マニュアル)は、事務所の経営憲法にあたる「日常業務一般方針書」だった。次に「主査業務基準書」等の役職別の行動規範、職員の行動規範が細かく定められた。 職員教育の機能「飯塚毅会計事務所の管理文書」には、心の鍛錬を重視した。「職域十訓」、「職業生活の5準則」、「方針書」なども盛り込まれている。 たとえば、昭和32年11月に発表した「職員教育錬成の基本方針」には次のように記載されている。 「経営組織における幹部はじめ全職員が所長の基本方針を徹底的に理解し、いやしくも我見、我執によってこれを歪めることなく、ねじ曲げてこれを押しつけることなく、全員和楽の雰囲気を醸成しつつ、世界的水準に達する会計事務所を建設せんとする」 この「職員教育練成の基本方針」には、レベルごとに達成すべき水準が示され、その達成するための方途が具体的に明示されている。幹部職員は自分はもとより、部下の成長に責任をもち、かつ、それらの経過と結果を所長に報告するシステムが作られた。このほかにユニークな「読書命令」制度等も制定された。 | |||||||||||