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飯塚毅博士の特筆すべき業績の一つとして、法律改正への先見的な提言が挙げられる。その提言の結果、職業法規である税理士法第1条の使命条項に「独立性」が盛り込まれたほか、コンピュータ会計法の制定など多くの法改正が実現した。 「独立した公正な立場」の金字塔-1昭和55年の税理士法改正に際して、飯塚毅博士は、税理士法第1条を使命条項とし、 税理士の立場を「中正な立場」から、独立性を示す表現に改正することを国会議員や主税局等の関係者に直言、提言。最終的に「独立した公正な立場」の文言が第1条に採用された。この使命条項の改正こそ、戦後税理士制度の分水嶺をなす出来事だった。 税理士法第1条の検討経過昭和53年当時、日本税理士会連合会では、税理士の使命は「納税者の権利を擁護し、法律に定められた納税義務の適正な実現をはかる」こと、すなわち納税者の権利擁護論が主流だった。やがて政府与党において、税理士法改正の機運が高まり、自民党財政部会税理士問題小委員会(小渕恵三委員会)が昭和53年3月に発足。以後税理士法改正案の策定は、この小委員会のもとで進められることになる。飯塚毅博士は、同小委員会に再三上申書を提出。税理士法第1条を「中正な立場」から「独立不偏の立場」と改正すべきことを提言し続けた。 同委員会では、54年1月の会議の時点では、第1条をめぐり5つの候補が検討された。
この後、税理士問題小委員会は、3月13日に「税理士制度改正要綱」を決議。2日後に税理士法改正要綱が発表された。 改正要綱では、「中正の」が「公正な」と変えられていたが、「独立性」を示す文言は入っていなかった。そこで、飯塚毅博士は「独立性」を示す文言を入れるべきであるとの上申書を書き上げて、小渕恵三、野田毅、津島雄二、小泉純一郎、伊藤宗一郎、社会党の武藤三治議員等に働きかけた。 しかし、小渕案は法案化への道を辿りだし、4月10日に自民党総務会で承認、同日閣議決定された。 関係者の合意を得て、ほぼ大勢は決したかにみえた。 | |||||||||||