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> [法改正への提言] 「独立した公正な立場」の金字塔-2
(写真出典:飯塚毅先生追悼集『自利トハ利他ヲイフ』4頁)
「独立した公正な立場」の金字塔-2
自民党の朝食会で発言する飯塚毅博士
主税局福田幸弘審議官との公開質疑
(昭和54年4月18日)
「間もなく妥協案ができて、日刊新聞にその改正案全文が自民党案として発表されました。
これが、翌年の3月13日のことでした。日税連の改正要望案は全く無視、それはやむを得なかったとしても、第1条に使命条項がなく、何よりも「独立性」に関する文言は皆無。その他欠陥だらけの法案でした。ここで筆者は奮起したのです。こんなことでは将来、税理士の権威は勿論、この職業の存続も危うくなると判断したからです。数十項目にわたる反駁論を執筆し、印刷し、自民党本部閣僚経験者ら多数に集まって頂き、その面前で主税局幹部を追及したのでした。効果がありました」(『TKC会報』昭和61年3月号)
昭和54年4月18日、自民党有力議員の朝食会において飯塚毅博士と主税局福田幸弘審議官(後に国税庁長官)
との公開質疑応答が行われた。同席者は次のように回想する。 「上申書を使って福田先生の一問一答の形を取って、これに対する質問と回答は空白で用意した。数点の質疑応答が行なわれた段階で、小泉純一郎先生が『飯塚毅先生、そんなに追い込むなよ』と合いの手を入れたので、質疑はそこで終わったと記憶しています」(TKC全国会30周年記念誌『変革に挑戦する会計人集団』)
飯塚毅博士の提言を入れて「独立した公正な立場」と変える改正案を社会党が承認。ほぼ同時期に自民党においても、第1条に「独立した」の4文字を挿入した改正要綱案が承認され、5月1日には、「独立した公正な立場」を入れた改正要綱案が新聞発表された。
「税理士法の一部を改正する法律」可決
昭和54年5月税理士法改正案は、第87回通常国会に提出されたが、審議未了で廃案に。
さらに第88回臨時国会でも廃案。第91回通常国会で審議され、昭和55年2月5日衆議院大蔵委員会で10項目の付帯決議を加え可決。参院大蔵委員会で野党共同で条文の「独立した公正な立場において」の次に「申告納税制度の理念にそって」の一文を加えた修正案が4月8日の衆院本会議で可決し、昭和55年4月14日、法律第26号として公布されるに至った。
「税理士法第1条」(税理士の使命)
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。 |
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