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> [飯塚毅会計事務所と巡回監査] 『飯塚毅会計事務所の管理文書』-2
(写真出典:飯塚毅先生追悼集『自利トハ利他ヲイフ』379頁)
『飯塚毅会計事務所の管理文書』-2
(参考資料)会計事務所の職員練成のために
- 君は自信が欲しいか。然らば絶対に確実だと誰が見ても信じられる仕事を、地味に反復してごらん。自信はその中から自然に湧いてくるものだよ。
- かつて、1円の償却超過の否認処分を受けたことがある。1円でも更正処分は更正処分である。君がもし、公正不偏の態度と、専門家らしい注意力と、秘密を守る意思力のうちいずれかを欠いていることに気づいたときは、急いで転職せよ。
君は経理マンに向かないのだ。 - 多くの人は、人生に対して立派な目的を持っているが、大部分の人が引き金をひいていない。さて、自分の場合はどうだろう。
- 心は形がなく、しかも十方に貫通するものである。直観は瞬時にして萬慮を運ぶ働きがある。お互いにここのところを味わってみよう。
- 直観は、それを得ようとして長い間準備し、苦心したものにのみ与えられる。ヘーゲルは、「純粋洞察は学の最たるものだ」といったが、それはこの直観が、学識に支えられている場合の心の機能力のことを言う。
- ころせ、殺せ、わが身をころせ、殺しはててなにもなきとき、人の師となれ。(『至道無難禅師集』より)
- 今、君は純粋ですか?人間主体性の確立とは、宗教的には純粋化された自分を自覚することをいうのです。純粋化された自己は、自己の一切の観念内容に対して、絶対否定的に看る立場をとることができるものなのです。
- 業務の正確さは、わが心境の純粋度合に比例する。これが疑い得ない経験的事実である。もし業務の末端に正確さが欠けているなら、わが心が乱れている証拠だと受け取って間違いない。
- 知的武装とは、職業法規を熟知することだ。
- ルールというものは、いち早く理解し消化して身につけてしまうことだ。そうすると、今度はそれが君の権威となって、君の人格から自然と外部ににじみ出てくる。
- この職業に従事する者に対するルール厳守の要請は、この職業が法律業務であるとの本質からきているのである。
- ルールを厳守している者には、その職業生活に本当の自信が湧いてくる。君には湧いてきたか?
- 君はいま自分を実社会にぶっつけている。立派な自分はどうしたらでき上がるものか、自分をどう磨いたらよいか、ここで2分間だけ考えよ。
- 会計事務所の職員が書いたものよりも、関与先の方が書いたものの方が、法廷上の信憑性が強い。故に君は常に網羅性と真実性と正確さの吟味とに、君の能力と時間を割当よ。ただ書いてあればよいと思うのは、素人の態度であって、専門家の態度ではない。君は専門家なのだ。
- 関与先を真に守るためには、関与先が驚く程の綿密さを発揮しなければならぬ。関与先の当方に対する価値評価の大小は、その発揮される綿密さの大小に比例する。ここに君が、自分の創意工夫の才能を磨く天地がある。同時に勇気を練る機会でもある。
- 仕事に没頭し、かつ瞬時にして自分の全てから離れる自己訓練を反復せよ。汝の主体性確立の方法論的秘訣ここにあり。
- 職員はソロバンをはじきながら、巡回監査をやりながら、心の鍛錬はできるものである。三昧=没頭すること。
(飯塚毅会計事務所の監査用紙裏面の文書)
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