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追悼座談会〜飯塚毅先生を偲んで〜-4

宗教的信念を持て

――岩田先生はいかがですか。研修関係の仕事に長く携わっておられましたが。

岩田 私は飯塚毅先生から「税法の勉強は本来、税理士が自分でなすべきものであり、研修所主催の研修に税法等法律の類の科目を入れてはならない。もっと心の問題を取り扱うように」と厳しく言われておりました。ところが、一般的に集まりがよいのは、税法研修やMAS(経営助言)研修のほうなのです。職業倫理の研修参加者が少なくて困っていたところ、飯塚毅先生が「TKCの社内報『とこしえ』に、私の考えが毎月載っているから、それを教材として使ってよろしい」と。それがきっかけで、初版の『自己探求』が纏まったのです。飯塚毅先生は心の問題を非常に重視されており、よく「宗教は不要だが、宗教的信念を職業会計人は持たねばならない」とおっしゃっていました。

もう一つ、『TKC基本講座』の編纂にあたって私が最も困ったことは、巡回監査関係の記述でした。自分の原稿に『合理化テキスト』にはこう書いてある、ああ書いてある、と至るところに盛り込んでいたら、飯塚毅先生から「引用やら抜粋やらを多用せず、なぜお前さんの言葉を使わんのか。引用せずとも巡回監査のことが書けるぐらいに、早くなりなさい」と叱られました。

――仁木先生は初代システム委員長ですね。

仁木 私はシステム委員会に当初からおり、第25回システム委員会がDATEV社で開催されたときから委員長を務めました。それ以前は、飯塚毅先生ご自身が座長を務められ、飯塚真玄現TKC社長が座長を引き継いで委員会を運営していました。

「これからは君たちに任せるよ」と、飯塚毅先生がシステム委員会を去られるときに話されたのは、「事務所合理化は、(1)記帳手書き事務の解消(2)各種経営資料の単品販売(3)決算書・申告書附属明細書作成の計算自動化(4)企業の未来計算――の4段階を経て達成する。これがTKCシステムの根幹なんだ。このことをシステム委員会の中でよく練ってほしい。システム委員会で決定されたシステムは、どんなに費用がかかっても、TKCが開発する」とのお考えでした。

それ以降、この飯塚毅先生の発想が維持され、今日のシステム開発にも脈々と息づいているのです。

――個人的なことで、心に残っていることはありませんか。

仁木 松本清先生とのことですね。飯塚毅先生から「仁木・松本よ、君らは2人で1人前だ」と言われたことがあります。それと「生涯、友情を崩すなよ」とも。松本先生と私は、岡山計算センターの設立など、名(迷)コンビで必死に努力してきました。そんな2人の関係を、飯塚毅先生は見抜いていたのでしょう。

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