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“第三の開国”に勇気を-5

“enlightened national interest”へ

飯塚その「国のため」という考えも、いまやよく吟味しなければいけない時代に来ている、と私は思うのですよ。釈迦に説法ですが、日本は「ナショナル・インタレスト」を超え「ワールド・インタレスト」を考えて行動せねば立って行かないのではないでしょうか。「ナショナル・インタレスト」というのは、ニコルソンの有名な外交論の書『ディプロマシー』――これはソ連でも外交官養成のテキストに使っているそうですが――あたりから広がった言葉のようで、戦後の日本でもしきりに原語で使われているわけですが、ニコルソンの本同様、この言葉も“古典”にしてしまっていいのではないか、と考えるのです。

大来お説の通り日本はこれまで、いかにして産業に国際競争力をつけ経済を発展させるかと、自国中心の発想でしたが、ここまで来ると自分の経済力、技術力をどのようにして世界経済の向上に役立てるかという発想に転換する必要がありますね。外の世界がよくなれば、日本もさらに発展するんだという考え方に。

しかし、現実の外交はやはりナショナル・インタレストを考えないとやれないところがあります。ただ狭い短期のナショナル・インタレストでなく、長期の広いナショナル・インタレスト、すなわち“enlightened national interest”(開明的な国益主義)に向けてゆく必要がありましょう。

飯塚先生は enlighten されていらっしゃる(笑)。失礼な言い方ですが、対外折衝で散々苦労されましたからね。選挙の洗礼を経ずに大臣におなりにはなったが(笑)……。

大来いや、私は国会議員にはなりませんでしたが選挙の洗礼は経ているのですよ。海外経済協力基金総裁の任期が終わる直前の昭和52年1月、新自由クラブ代表の河野洋平さんが私の家に乗り込んで来て参院選出馬を口説かれたのです。結果は全国区の59番で、見事落選(笑)。

外務大臣になったのは、その2年後の第2次大平内閣です。当選していたら多分、話はなかったでしょうね(笑)。

飯塚人間の運はわかりませんね。いずれにせよ先生は稀有なる経験のお方だ。

本誌日米摩擦の中で、アメリカ側が信用できる日本人は誰と誰と指を折る時、先生が筆頭だそうですからね。

飯塚そう。日本の政府に対しても影響力がおありだから、ここらで日本を責めている相手が驚くような摩擦解消策を提案されたらいかがですか。

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