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“第三の開国”に勇気を-6

歴史の教訓――開放は日本の利益

大来この4月、対外経済問題諮問委員会が市場開放のガイドラインで報告書を出しました。

本誌先生が座長をしておられるあの10人委員会ですね。

大来その報告書に「原則自由、例外制限」というスローガンを入れました。首相もこれをよく引用しています。

歴史的に見ても、130年前にペリー提督が来て日本を鎖国から開放しました。大変な騒ぎになったがそれによって日本は近代化し利益を得ました。行き過ぎて戦争になりましたがね(笑)。

その戦争に負け、占領下で日本はまた変革がありました。あれも一種の国際化ですね。その結果、日本の産業は強くなった。

私は、「市場開放の要求に応え、今度は第三の開国だ」と言っているんです。そして3回ともアメリカが日本のシリをたたく役をしています。たたかれる日本は外圧とかなんとか言っていますが、「これは日本が進んでやるべきことなんだ」と考える方が賢明ですよ。歴史の経験からも(笑)。

飯塚その通りです。ですから素人考えかもしれませんが、外国人が驚くほどの開放策をとれないかと私は申しているのです。

大来外国人がびっくりするほどの策はむずかしいでしょうが(笑)、少なくとも「日本はアンフェアだ」と言われない程度にはする必要がありますね。

いろいろ聞いてみると、目に見えない障壁があったり、そこまで細かいことを役所がいちいち監督したり、規則を決めなくてもいいじゃないか、と思われることが沢山あります。

いまそれを外しにかかっていて、7月末にかなりのアクション・プログラムが発表されますが、役人というのは予算と権限が生きがいだから、自分の仕事を減らすことには抵抗があります。

飯塚先生は経済企画庁の局長までなさったので、そのあたりよくお分りでしょうね。

大来26年間役所で働きましたから、役人の行動は理解できます。輸出を振興し国産品を愛用して外国から物が入らないようにするのが国益だ、と長い間思ってやって来たわけですから、それを切り換えるのはむずかしい。しかし、総理大臣を先頭にそういう号令をかけるようになったのだから、だんだん変わるでしょう。

飯塚アクション・プログラムが出た先の展望はいかがですか。

大来輸入基準や認証を思い切って撤廃したり緩和しても、残念ながら輸入はそれほど大幅にふえないだろう、と思います。さっき申しましたようにお米を全部輸入しても50億ドルですからね。

もちろんお米は開放できません。お米の自給は食糧安全保障です。外国産の4倍の値段を払っても、安心料だと割り切ることができます。しかし、米以外の農産物はそうではありません。中曽根さんもこのごろでは「農業は聖域でない」と言っておられますね。

飯塚貿易の自由で繁栄しながら、国内の弱い産業については別だ、というのでは筋が通りませんね。

大来もう1つは内需振興です。これは外国からも指摘されています。

昨年は日本から差し引き500億ドルの長期資本が流出しました。先達もワシントンで連邦準備制度理事会のボルカー議長から、「日本は国内でやることはなくなったのか」と指摘されました。これなんか、少なくとも何割かは国内でもう少し国民の生活を豊かにするように使うべきでしょうね。

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