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そもそも、「赤字財政の再建」と、大なる不評をかこった「増税」を。“回避”するための一方策として出てきたのが、これまでの歴代首相が手をつけ得なかったところの“行政改革構想”である。が、当初の“財政再建構想”は、いつの間にか「行政改革」なるものに変ぼうし、鈴木首相も『政治生命をかける』と断言、大ハッスルしている。しかし、「行革(ぎょうかく)」は「行財政改革(ぎょうざいせいかいかく)」でなければならないはずである。このことが、成功するか否かは一に、担当大臣である中曽根行管庁長官の双肩にかかっている。飯塚毅会長に、ずばり、その核心に斬り込んでもらった。

命懸けの行・財政改革-1

対談者(敬称略・順不同)
 中曽根康弘(国務大臣・行政管理庁長官)
 飯塚  毅(TKC全国会会長・行政管理庁プライバシー研究会委員)
 ※肩書きや発言内容は対談当時のまま掲載しています。

行革は補助金カットばかりではない

本誌さっそくですが大臣、昨日(4月23日)の自民党政調会役員との懇談会の席上、鈴木首相は「世論が高まっている現代を逃すと行財政改革はできない」。

また、57年度予算編成については「増税なき財政再建を進めるために、一般歳出は今年と同額にならざるをえない。シーリング(予算概算要求ワク)は、6月の上旬、あるいは中旬に提示することになるが、各省庁には伸び率ゼロの概算要求作りに真剣に取り組んでもらいたい」と、行財政改革についての協力を強く要請されたそうですね。

中曽根そうです。

本誌鈴木首相も、最近では行政改革、財政改革と分けて言わずに、行財政改革という言葉をさかんに使っておられますが、この間の国会討論会で中曽根大臣も強調されていましたように、「行政」を「改革」するためには、当然のことながら、例えば、不公平税制の是正が裏打ちされていなければならないし、あるいはプライバシーとかいろんな問題等が新たにリンクしていくもんであるわけですね。

飯塚そうそう。全国の会員から電話が入りましたよ。中曽根大臣が、要するに、行政改革1本だけじゃあいかんのだ、と。その次に不公平税制の是正をやらなければ云々、ということを言われていたという話が……。

中曽根ほほう。いや、“栄養失調の行革”じゃあ、いかんと言うんです。

行革というのは、なにも「補助金カット」ばかりじゃないと、そういうふうな話をしたんですよ(笑い)。

本誌で、いかがですか。大臣のほうのご計画は、思った方向に進んでおりますか。

中曽根ええ。だいたい思っている方向に、時間的にも進んでおりますね。

譬えていいますと、走り高飛びの助走がすんで、エイッ、とばかりに3メートルの高さのバーをクリヤーできるかどうかの、勝負どころに入って来ましたね(笑い)

飯塚あはははは……。

しかし、大臣、こういう時節ですからね、「総論」では正面きって反対もできないんで、やろうやろう、賛成だ、という感じなんですが、いよいよ「各論」に入ってくると、これからなかなか、内外ともども、大変じゃないかなあ、という気がしますね。

中曽根まさに、そうですね。

ですからね、一番大事なことは、こちらのスタンスをしっかりさせるということ。たとえ何が起ころうともたじろがないということが大事だと思いますね。

たじろがないためには、思想なり、哲学なりがキチッと、しっかりしていないと出来ないですよ。

飯塚そうです。おっしゃる通りです。

本誌まさに、“不退転の決意”がなくては、できませんね。

中曽根そうです。ですから、私も勉強していますけれども、委員のみなさんがたにも、しっかりしたものにしてもらおうと思いまして、そういうビジョン委員会を作り、木内信胤(のぶたね)(現・世界経済調査会理事長)さんに委員長になっていただき、そちらのほうを専門にとりかかってもらっているところです。

本誌第2次臨時行政調査会(土光敏夫会長)の第1次の答申が、もうすぐ出ますね。

中曽根ええ、この7月に第1次の答申が行なわれ、57年度の予算にも影響を与えるようにとお願いしているわけです。

本誌その土光さんは、このところ、夜も眠られないそうですね。あの、十何年前かに書かれた第1次臨時行政調査会(故・佐藤喜一郎会長)の報告なんかを読まれていて……。

中曽根土光さんには本当に、よくやっていただいておりますよ。

この7月に出る予定の第2臨調の答申をどれだけ実行できるかということで、今回の行政改革の、8割の値うちが決められちゃいますからねえ。

飯塚われわれもね、“桟敷”からみておりまして、そんなふうな印象を受けますね。

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