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国家百年の計-4
今こそ確立せよ日本の税制

悩み多き間接税――抜本改正が必要

飯塚問題の大型間接税について、政府税調の専門小委は、3類型の新しい間接税――現在の物品税の大幅拡大案といえる「製造業者売上税」、実質的には小売売上税の「事業者間免税の売上税」、事業者の売上にかける「日本型付加価値税」――の報告をしていますが、私は、大型間接税を導入するなら前段階控除のEC型付加価値税がいいと考えますが、実感としては大型間接税の必要はいまのところないと思います。

もっと大切なことは、税について本当の意味の平等を実現することです。そのための最大の方策は、私が久しく力説してきた記帳の義務化と不実記載の処罰――これについては後で詳述します――です。

これで脱税は大幅に防止され、平等と財源充足の2つが同時にいっぺんに実現します。そして、水野さんがいわれる税制への信頼もつなぎとめられます。

水野記帳義務については、昭和59年に、飯塚さんにはご満足頂けなかったでしょうが、前進がありました。その点については私もあとでお話を伺ったうえで……。

間接税というと、現在の物品税も立派な間接税なのに、それを飛び越して、話しがすぐ大型間接税になってしまうようですが、いずれにせよ、間接税についても、飯塚さんが強調されるように、公平、平等なものであることが一番大切です。

たばこ、酒は値段の半分くらい税金がかかっている一方、非常に高価なものでも税金がかかっていないものが沢山ある。いま物品税は85品目しかなく、ゴルフ道具はかかってもテニスの方はかからないといった不合理があるわけです。

これは、いろんないきさつの積み重ねでこうなっているわけで、平等、公平という点でいろいろ問題があるとは思っています。悩み多き間接税であることは確かです。だから、ここで新しく大型間接税をという話しにもなるわけです。ともかく、公平、平等な間接税にすべきことは誰が見ても明らかです。

とはいっても、いっぺんにドイツのウムザッツ・シトイエル(売上高税)というのは飛躍しすぎかもしれませんしね。飯塚さんはEC型付価値税に触れられましたが……。

飯塚ウムザッツ・シトイェルはEC型付加価値税の原型です。現行の間接税(物品税)について言えば、水野さんが「悩み多き」といわれるのはその通りですね。課税品目が極端に限定されているのが問題です。もっと品目を広げ、税率を下げるべきです。

水野品目を広げれば、税率は低くできます。所得税だって「控除」をやめれば4.9%の比例税率でいまの所得税と同じ税収を確保できます。その意味で、現在の物品税には限界があって、やはり抜本改革が必要だろうとは思っています。

飯塚水野さんは主税局でずっとやってこられたから、その悩みは骨肉化しておられるでしょう。

水野そうですね。何とかしなくてはなりません。それは所得税についても同じです。マクロでいけば4.9%なのに、現在は限られたところに80%もかかってしまう。限られた人だけに苛酷な負担というのはいけない。所得税はなだらかにする必要があります。どうも最近の税の話しは、すぐ大型間接税に行ってしまい、焦点がボケるきらいがあります。

大蔵省も、「所得税はこうします」となかなかはっきりと打ち出してゆけない面があるのですが、根本は飯塚さんがいわれたように「税負担は幅広く平等に」ということです。

飯塚そうすれば国民は大いに喜びます。

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