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「文化摩擦」回避の道-3バランスを失した黒字体質のとがめ佐藤私がいるニューヨーク大学では、ある会計事務所と投資銀行と協同で、各国の会計の違いによって収益性の計算がどう違ってくるかを研究しています。その場合、簡単なところでは子会社をどうするか。世界的にアクセプトされた原則を基準にしてやっているわけですが、1990年には結果が出るでしょう。 飯塚子会社をどうするかと言われましたが、日本は連結決算に関する法律も全く整備されていないのです。 佐藤昔のTレイショで評価しても、最近のQレイショで評価しても、日本の株価は高いのですが、これはそうした会計制度の特殊性は関係はありませんか。 飯塚直接の関係はないと思います。 やはり日本のソーシァル・フレイムだと思います。 佐藤ソーシァル・フレイムというと、通常の説明では、安定株主というのがあって株式の供給が少ないこと、もう1つは税対策で所得効果より資産効果をねらうことが上げられていますね。 飯塚そういう傾向は確かにあるかもしれない。 佐藤それにしても説明のつかない部分が一杯あります。私は根本的には日本の黒字体質が原因だと思うのです。いま年間500億ドルの黒字がある。ということはドルがそれだけ流入する。多くの企業はそれを円に換える。すると国内の流動性がそれだけ上がり、それがストックの購入に廻るから、株価が上がる。物価も地価も上がる。 飯塚仰言る通りです。 本誌家計だと黒字体質は歓迎すべきことなんですがね。 佐藤ミクロではいいことだがマクロではよくないということがある。バランスがとれなければいけない。日本はバランスが崩れていますね。それが世界で摩擦の原因になっている。 本来は売り手と買い手があって取引が成立するのだから、そのこと自体は双方ハッピーに終わっているのです。ところが、全体として見るとハッピーでない人が一杯出て来た。 本誌そこで文化摩擦という言葉まで飛びだすのですね。 佐藤三菱地所が大手不動産会社ロックフェラーグループ社の買収を発表しましたが、反響はすごいですよ。今日もニューヨークタイムズで読みましたが。 飯塚そうでしょう。ニューヨークの象徴ロックフェラーセンターを手に入れたのですからね。アメリカ文化を代表するハリウッドのコロンビア映画をソニーが買収したばかりだし。 佐藤日本にあてはめると、東京タワーと丸の内の丸ビルの2つを外国人が買い取ったようなものでしょう。 | |||||||||||||