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「文化摩擦」回避の道-6

単一民族と多民族国家

飯塚さっきの「日本ふるさと」論で、日本は単一民族であるというニュアンスの話が出ましたが、歴史的にみますと日本ほど多くの人種、民族が集まった国は少ないのですよ。古代史を調べると、朝鮮半島、満洲、中国は勿論、南方からも来ている。イスラエルからさえも。

青森県に「イエス・キリストの墓」と伝えられる墓があり、その辺の人は意味は定かではないが昔から伝わる言葉で踊っている。それをイスラエルから来た人が聞いて、「これはイスラエルの言葉だ」と。

佐藤義経が向こうへ行ったという話もありますね。

飯塚それは怪しいが(笑)……。

佐藤仰言る通り古代には方々から日本に来た。しかし、時間をかけて同化し、単一民族と言ってもいいものになったのでしょうね。

逆に多民族国家アメリカがうまれたのは、ここ300年そこそこです。だから「人種のメルティング・ポット(溶解炉)」といわれるくらい混沌としています。ニューヨークには日本のレストランが300軒あり、そのほとんどがすしバー。握っている職人の多くは日本人ではないのです。

飯塚ほう。

佐藤アメリカヘ行って最初に聞かれたのは「 Are you Chineese? 」でした。向こうではチャイニーズもジャパニーズもコーリアンもベトナミーズも、相当に親しくならないと分かりませんからね。アメリカ人が言う「多民族国家」というのは、そういうのを指しています。

飯塚世界中から集まった人が英語と星条旗と「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」で結びついている。それがアメリカですね。

佐藤日本では何百人かのベトナム難民が流れついたと大騒ぎしていますが、アメリカではそんなこと日常茶飯事です。

製品の背後にあるもの

佐藤古代史で思い出しましたが、紀元前5世紀のギリシアの歴史家へロドトスが東洋のことを書いています。大陸を東に進んだところに奇妙な連中が住んでいて、これは人間だけど人間でないと思っていい。半年寝ないで働いて、あとの半年は冬眠している。部族の親分が死ぬとその肉を刻んで羊の肉と混ぜて出す。しかしシルクを非常にうまく作ると。

飯塚ヘロドトスの『歴史』は見聞した情報がごちゃまぜになっていて今日の歴史書とは趣が違うが、意外に真実を伝えています。

佐藤原始の貿易というのは物そのものの珍奇さとか有用性が問題で、それをつくる人間はどんな人間でも構わない。ここにあるソニーのテープレコーダーも、仮に囚人が作ったものであっても、女性が作ったものでも、背後の人は一切問われない。

飯塚品質が問題なんであってね。ソニーもひたすらそこを心掛けた。

佐藤そういうのが貿易の原形ですね。しかし、交流が密になってくると、ソニーという企業はどういう会社か、会長の盛田はどういう人かということも問題になってくる。

飯塚そうなんだ。だから盛田さんは、石原代議士との共著『ノーと言える日本』がアメリカで問題になると、記者会見して「石原氏との共著にしたのは適当でなかった」と釈明している。

佐藤日本は戦後の40年で、いい製品を世界に出すことには成功しましたが、その背後にあるものの方はこれからですね。逆にいえば、まだ発展性があるということでもある。

飯塚ご指摘の通り。ここまでやったんだから、これからもやれない筈はない。日本民族は大変な複合の産物ですからね。私は究極としては楽観しています。

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