飯塚毅博士アーカイブ
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自己探求の言葉
職業会計人の行動指針

飯塚毅博士の言葉

職業会計人の行動指針-6

税理士の活路は租税正義の護持にある

誰が何と言おうと、税法に関する専門家は税理士だけだ。徴税官僚は、山のような仕事を抱え、人手不足で手が回らない。とすれば結局、国民の租税正義の護持は、税理士自ら、その責任の衝に当たることを鮮明にしていかねばならない。だが、そのためには、税理士は数々の障害を突破する見識と勇気を要する。

まず第1に、税理士は自分の収支計算について純潔無類でなければいけない。天地に恥じるところ一点もなし、という生活でなくして、どうして他人に向かって租税正義を説けよう。第2に税理士は勇気の人でなければならない。ドイツの税理士法では「受託拒絶の通知」が税理士の義務条項に取り入れられている。勇気とは畏れのない心だと知ろう。第3に税理士は、当局が無審査でパスせざるを得ないところまで、自分の業務水準を高めなければならない。(中略)全国の中小企業を、税理士が奮起協力して、その指導体制下に組み込んで、租税正義の実現は税理士の双肩にかかるとの社会的実績を作ろう。税理士の活路は、国民の中で尊敬される租税正義の護持者に徹してゆく方向にしかないのだ。(『職業会計人の行動指針』飯塚毅著・TKC出版)

会計人の社会的地位の向上に尽力すべし

職業会計人は、自由業に従事するものとして、独立性をもっていなければならない、ということは、我が国の会計人には、あまり、浸透していない理念のように思われます。我が国の税理士法第1条には、やっと、昭和55年になって、「独立の」という文言が入れられたわけですが、その真の意味はなかなか理解され実践されていない状況だ、といえるのではないでしょうか。

職業会計人の隣接業界である弁護士業界においても、ときどき、依頼者ベッタリの姿勢をとり、鷺を烏だと主張して恥じないお方を見かけますが、これが税理士や公認会計士の世界になると、証拠を残さずに脱税の手伝いをしてやれる会計人が、腕のある会計人だ、という観念がまだ残っており、この姿勢と理解が、実は逆に銀行をはじめ世間一般から、その権威を余り高くかわれない結果を作っている事実には、気付いていないように思われます。一部の商品生産の領域では、世界のトップのようにいわれている最近の日本も、自由業の領域では、発展途上国なみ、またはそれ以下の現況にあることを厳しく反省して、職業会計人の社会的地位をせめて米独なみとするよう、われわれ職業会計人は努力してゆく責任がある、と思うのですが、いかがでしょう。(『職業会計人の行動指針』飯塚毅著・TKC出版)

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