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10年ほど前の出版界は「ガイジン」による日本人論が花盛りでした。それらの本は時の経過とともにあえなく消えてゆきましたが、例外中の例外は本日のゲスト、グレゴリー・クラークさんの労作『日本人――ユニークさの源泉』と『ユニークな日本人』で、いまも着実に版を重ねています。
この本を読まない人でも、「時々テレビで見る、端正に日本語を話す外人」といえば、ああ、あの人、と分かるのではないでしょうか。 クラーク先生を正統的知日派とすれば、「両書に圧倒された」とシャッポを脱いだ飯塚毅TKC・全国会会長は正統的知欧派でしょう。 国際舞台で日本への期待がますます高まるいま、「日本人のユニークさ」について、たっぷり検証して頂きたいものです。(木場康治本誌編集主幹の挨拶から) 日本人のユニークさを検証する-1対談者(敬称略・順不同) (グレゴリー・クラーク) 1936年イギリス・ケンブリッジ生まれ。オクスフォード大学卒業。オーストラリア外務省で中国担当官、駐ソ大使館書記官などを務めたあと、『ジ・オーストラリアン』紙東京支局長などを経て現在上智大学教授。 著書に『国際政治と中国』(アジア経済研究所)、『日本人――ユニークさの源泉』(サイマル出版会)、『ユニークな日本人』(講談社現代新書)などがある。 日本人と西欧人を内面で架橋飯塚先生の『日本人――ユニークさの源泉』と『ユニークな日本人』を拝読し、圧倒されました。 地球規模で、また古代から現在にわたって前後左右、縦横にわれわれ日本人を検証し、解剖し、ご自身で充分に納得された上で「分かりにくい日本人の実体はこれだ」と提示された。 われわれ日本人は、自分のことを、外部に説明することが下手です。下手というより、出来ないといった方がいいぐらいですが、ご本を読んで、これからは説明できそうです(笑)。 クラークそれほどに評価して頂いて光栄です。 飯塚『日本人――ユニークさの源泉』は「The Japanese Tribe」が原題ですが、この表現に日本人の像が凝縮されていますね。 日本人を説明するのに、ムラとか家とか縦(たて)社会とかがキーワードとして使われていますが、tribe(部族)というのはそのものずばり、他の語をもって換え難い。 「われわれ西欧人もかつてはトライブだったが逸脱した。日本人はいまもトライブそのままである」――この指摘がご本の核心ですが、ドキリとしましたよ。 おそらく、先生の同族の西欧人も、そうではないでしょうか。 クラーク鋭いご指摘です。実は、私もこれで自分自身を発見したのです。 飯塚集団主義――グルーピズム――が批判される「日本人論」は、西欧人の問題でもあったわけですね。 外国人の書いた日本人論は沢山ありますが、外からの観察にもとづく描写がほとんどです。その点、先生のご本は日本人と西欧人を内面的に架橋した趣があります。 最後は洞察力ですが、それまでに随分多くのご経験と勉強があったと思います。 今日は、ユニークな日本人ならぬユニークな「ガイジン」でいらっしゃるクラークさんご自身についても、お話を伺いたい。 | |||||||||||||