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(写真出典:飯塚毅先生追悼集『自利トハ利他ヲイフ』386頁)
1989年は最後まで激動の年でした。それも年末までにそろって一段落というところが面白かったですね。この対談が載った本誌が読者に届くころには、総選挙の結果が出て、今度は日本の政局が激動ということになるかも知れません。
そこで今回は一息ついて、健康談義といたしたく、いま人気上昇の漢方治療、その第一線で活躍される丁先生をゲストにお迎えしました。日光石銘水普及のパトロンとしてその方に関心の深い飯塚会長と波長が合うものと期待しております。(木場康治本誌編集主幹の挨拶から)
漢方-1
これからの医療文化
対談者(敬称略・順不同)
丁 宗鐵(北里研究所付属東洋医学総合研究所診療医長・兼研究部長)
飯塚 毅(法学博士・TKC全国会会長)
※肩書きや発言内容は対談当時のまま掲載しています。
(てい・むねてつ) 昭和22年東京生まれ。横浜市立大学医学部、同大学院卒業。学生時代から東洋医学研究会に参加。米国留学などを経て現職。和漢医学会評議員、日本東洋医学会理事、横浜市大講師。医学博士。
著書に『漢方なら治る病気』(読売新聞社)など。
日光石と朝鮮人参に因果関係?
飯塚漢方の権威からお話を伺えると楽しみにして来ました。実は私、多少その方の素地があると思っているのです。
丁ほう。
本誌会長は隠れたる健康の銘水の普及者なんです。
飯塚私の学友が日光の男体山の山あいで特殊な石――日光石と呼んでいますが――を発見しましてね。
現地で「万病に効く」と1升5,000円の水を売っているのを見たのが発端です。命がけで岩を攀じ登って取って来ると聞いて、その元は石だと彼は直観した。小売酒屋でしたが、家産を弟に譲り、30年かかって遂にその石を発見し、私に持ち込んだのです。
この石を入れた1升瓶に水を満たしますと、水道のカルキなどをたちまち吸着して浄化します。4、5日飲用すると見事な便がでる(笑)。
丁日光という所は、どうも水とか石が特殊なようですね。
飯塚そうらしい。
丁日本で最初に朝鮮人参の栽培に成功したのは日光、それも東照宮の近くなんです。
飯塚ほう。
丁朝鮮人参は漢方ではとても大切な生薬ですが、鎖国で入らなくなった。そこで幕府が朝鮮から種を貰って各地で試験栽培したが、日光だけうまくいったのです。それをしばらく日本の風土になじませて次に譜代大名にだけ分けてやった。だから朝鮮人参のことを御種人参とも言います。このうち今日まで残ったのが福島、長野、島根の各県です。
飯塚なるほど。これは貴重な話を伺いました。
丁東照宮の近くにはもともと、朝鮮人参に近縁の人参が生えていたそうです。昔は化学肥料などありませんから、特殊な土壌でなければならない。日光にはそれがあったから御薬園というのが置かれた。その近くに先生の日光石があったとなると、因果関係を調べる値打ちがありそうですね。
飯塚友人が私より前に石を持ち込んだ大学の学者は、「全部自分に寄越せ」と言ったそうです。私は「人々の健康に貢献したい」という学友の志に従って、随分多くの方にこの石と水を差し上げてきました。
本誌面白い符合の一致ですね。
日光石は私も愛用していまして誠に調子が良いのですが、同時に杜仲茶も愛飲しております。高血圧に良いとのことで、早くも効き目が現れているようです。
丁杜仲は血圧降下作用、抗ストレス作用があるといわれ、腰痛症、高血圧症、インポテンツ、夜間頻尿に応用されてきましたが、単独では有効率は低いようです。
お茶の要素としては、アロマ成分による香り、タンニンによるほどよい渋味、澄んで沈澱のない色調、カフェイン、テオフィリンによる軽い中枢興奮作用が知られていますが、杜仲茶だけは残念ながら、それらの要素が弱いと思います。
本誌漢方“薬”とはいえないまでも、少なくとも健康にとって良いお茶だと思いますが。
丁もちろん、それはそうです。きゅうすに緑茶と混ぜて飲むとより効果的でしょう。
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