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東洋思想でいかに生きるかを問い直す-8

インドへは20数回

飯塚ところで、先生は若い時にインドに留学なさったのですか。

中村残念ながら留学しておりません。私が学者として育った時代――助教授になった頃は進駐軍の支配下で、外国へ行くのは月世界へ行くようなものでした(笑)。インドヘは20数回行っておりますが、アメリカやヨーロッパに講演などで招待された帰りに寄るのです。勿論、インドから招待されることもあります。

今は外国留学は日常的で、私どものような財のない財団法人でも、これまでに20何人かの留学生をインドなどの国々に送っております。

飯塚テレビの番組でインド旅行中の先生が映され、買い物に出られた先生がサンスクリット語で話しておられる。これはすごいと思いました。

中村私はできるだけ現地へ行くことにしています。文献を読むだけの研究では十分でありませんから。少なくとも、心とか生死を扱う研究では現地で人に会い、いろんな経験を積む必要があります。で、無理をしてでも行くことにしています。

時には向こうの側から「短くてもいいからサンスクリットで何か言ってくれ」と言われることもあります。「ここにいる何百人の連中でサンスクリットの分かるのは1人もいない。間違えても分からないから」とけしかけるんです(笑)。

飯塚ヨーロッパのウィーンとかドイツで講演される時は何語ですか。

中村大体英語です。ドイツ語でと頼まれることもあります。討論は英語です。でも、なるべくその土地の言葉でと心掛けています。

飯塚私も、10数年前、ドイツ大蔵省で講演した時は英語とドイツ語ちゃんぽんでしたが、ヘーゲルの言葉を引用する時はドイツ語でした(笑)。

中村喜ばれたでしょう。

飯塚それを通り越して驚いていました。今度、10月にニューヨーク大学で講演することになっているのですが、向こうが私を買いかぶり過ぎて、アメリカのナンバーワンの会計学者をぶつけてきたのです。ミスター飯塚と一緒に講演してもらうと。

アメリカに財務会計基準審議会という機関があります。日本でいう会計原則。これを立法化する機関ですが、その議長のバーレス・フォードさんという人です。名誉といえば名誉ですが、胃が痛くなります(笑)。

中村素晴らしいお話です。ご成功をお祈りします。

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