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自衛隊海外派遣は慎重であれ-2

納税者に分からぬ税法

後藤田税理士というのは、本当は要らん商売でしょう?

飯塚へえ?

後藤田だって、税法は納める人に分かるものでなければいけない。ところが、税法は納税者に分からない。だから税理士がなくてはならぬ存在になっているんでしょう。

飯塚仰言る通りです。私もそれを言い続けているのです。

後藤田もうすこし数式を使って書けば分かる面が多いと思いますよ。

飯塚しかし、アメリカの税法は約1万ほど条文があります。ドイツも多い。

後藤田それが間違っているんだ。税法は一番身近な法律でしょう。だれにも分からなければいけない。今の法律の中で一番分からないのが税法ですよ。それから恩給法――今は何々共済法というのかな。不眠症にかかったらあの条文を読むといい。かならず眠れる。

飯塚ハッハッハ。しかし、人間は嘘をつく動物です。税法はそれを想定して……。

後藤田公平、公正を主眼にすれば法律は細かにならざるを得ない。それは事実です。しかし、細かくなると今度は庶民に分からなくなり、それを商売にする人が出てくる。

飯塚公正、公平といえば、米英独仏、オーストリア、カナダなどは、申告書の署名欄の欄外に「真実を書かなければあなたは告発される危険があります」と刷りこんであります。

後藤田それは日本でも出来る。申告納税というのは自己課税だから。

飯塚その点は違います。

後藤田何が?

飯塚「申告課税は自己課税」というのは大蔵官僚が作った勝手な論理なんです。日本の税制は戦後のシャウプ勧告が骨格になっていますが、勧告の第4巻にはこう定義しています。

「納税者の所得を算定するに必要な資料が自発的に提出されること」と。

後藤田政府に分からせる。なるほどね。

飯塚日本のやり方では納税者がいくらでも誤魔化せます。この額は巨大ですよ。

後藤田第一、僕らは自分で申告書を書けないからね。税法が細かくてね。

飯塚細かくしても人間は嘘をつきます。

後藤田アングロサクソン系とラテン系、それに日本人のような東洋の系列では納税思想が全く違う。

飯塚歴代の国税庁長官の悩みは、「なぜ国民が正しい申告をしないか」ということだと思います。大学の法学部の教授だって自分の申告書に嘘を書くんだから。

後藤田そうかもしれない。また、それを前提にして税率が決まっている。完璧に申告してくれたら今の税率ではゼニが余る(笑)。

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