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(写真出典:飯塚毅先生追悼集『自利トハ利他ヲイフ』386頁)
自衛隊海外派遣は慎重であれ-3
相続税減税に努力
飯塚その結果、残酷物語といってよいほどになっているのが相続税です。
後藤田税金というのは収入から払える限度がある。税制は担税力を測ってつくるものなんだ。ところが日本の相続税は苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)。3代たったらゼロになるんだから。
飯塚その通り。
後藤田僕は選挙の時、相続税減税を約束し、当選して官房長官になると、大蔵省から来ている首相秘書官を通じて提案し、実現した。あの時、すこし相続税が軽くなったでしょう。日本の相続税ほど厳しいものはない。まさに社会主義国家だな。
飯塚TKCの顧問をして頂いていた佐藤一郎先生が、同じことを言っておられます。「日本は大蔵省社会主義の国だ」と(笑)。
後藤田ああ、佐藤さん。僕が神奈川県の課長時代、横並びの課長でした。2年先輩だけど。
しかし、まさに大蔵省社会主義だな。相続税は減税されたがまだまだ高い。東京は特に資産価値が高くなった。不労所得といえば不労所得だが、税金が払えませんよ。
飯塚坪1億円ではどうにもならない。
後藤田それでも日本の月給取りは黙っている。おとなしいものだ。可哀そうだよ。
バブルの体質は早くからあった
後藤田佐藤一郎さんといえば、随分昔の時代に、日銀総裁だった佐々木直さんと3人で飯を食ったことがある。その時、僕がロをすべらせて、こんな問答になった。
「佐々木さん、諸悪の根源はあなただよ」
「どういうことだ」
「市中銀行がひどいところは子会社として不動産会社つくっている。つくっていないところも無闇に不動産担保の融資をしている。当然、金がなくなる。するとあなたの日銀が金を貸している。この金をまた不動産融資に回す。地価が上がると担保価値が増す。そこでまた貸す。それが地価高騰の原因だ」
第1次地価高騰の時の話です。
飯塚すごい先見の明だ。今度のことにそのまま当てはまりますね。
後藤田僕は経済には素人だからね。朝日新聞で論説をリードしていた笠信太郎という人が本に縷々書いていたんだ。
本誌笠さんなら『花見酒の経済』ですね。
後藤田「今の日本の金融資本のあり方はよくない」と指摘していた。同じことを性懲りもなくやった結果が、現在のバブルだ。金融というのは資本主義社会の根幹をなす仕事でしょ。もう少し社会的責任を自覚してやって貰わないとムチャクチャになるわな。
飯塚そう。今度、方々の銀行の幹部が責任をとらされましたが、当然ですね。
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